いつも同じ位置で髪を分けている、特にセンター分けを長年続けているという方で、分け目部分の薄さが気になる場合、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」の可能性も考えられます。牽引性脱毛症とは、髪の毛が長時間にわたって同じ方向に強く引っ張られ続けることで、毛根に負担がかかり、その部分の髪が抜け落ちてしまう脱毛症のことです。ポニーテールやお団子ヘア、きつい編み込みなどを日常的にしている方に起こりやすいことで知られていますが、実は「いつも同じ分け目」にしていることも、原因の一つとなり得るのです。髪の毛には重さがあり、分け目部分では、左右に分かれた髪の重みで常に毛根が引っ張られている状態になります。特に、髪が長い方ほどその負担は大きくなります。センター分けの場合、頭頂部の中心線に沿って常に同じ部分の毛根に力が加わり続けるため、長期間そのスタイルを続けていると、毛根が弱って血行不良を起こし、髪が細くなったり、抜けやすくなったりしてしまうのです。分け目部分の地肌が以前より目立つようになった、分け目周辺の髪だけが細く弱々しくなった、といった症状が見られる場合は、牽引性脱毛症を疑ってみる必要があります。この脱毛症の良い点は、原因である「髪を引っ張る力」を取り除けば、症状が改善する可能性が高いということです。対策としては、まず定期的に分け目の位置を変えることが最も効果的です。センター分けだけでなく、左右どちらかにずらしたサイドパートにしたり、ジグザグに分けたりするだけでも、毛根への負担を分散させることができます。また、髪を結ぶ場合は、きつく縛りすぎず、少し緩めにする、毎日同じ位置で結ばない、といった工夫も有効です。もし、セルフケアで改善が見られない場合や、薄毛が広範囲に及んでいる場合は、他の脱毛症の可能性も考えられるため、皮膚科などの専門医に相談することをお勧めします。
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分け目が薄いのは牽引性脱毛症かも?
2023年6月26日