薄毛

AGAか円形脱毛症か?診断の重要性

抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりしてきたとき、「これはAGA(男性型脱毛症)だろうか、それとも円形脱毛症かもしれない…」と悩むかもしれません。しかし、この二つの脱毛症は原因も治療法も全く異なるため、自己判断は非常に危険です。正確な診断を受け、適切な対応をとることが、症状の改善や進行抑制のために何よりも重要になります。なぜ自己判断が危険なのでしょうか。もし、実際は円形脱毛症なのにAGAだと思い込み、市販のAGA向け育毛剤などを使用した場合、円形脱毛症の原因である免疫系の異常には作用しないため、効果は期待できません。それどころか、育毛剤の成分が頭皮を刺激し、かえって炎症を悪化させてしまう可能性すらあります。逆に、AGAなのに円形脱毛症だと思い込み、自然治癒を期待して放置してしまうと、AGAは進行性の脱毛症であるため、その間に薄毛はどんどん進行してしまいます。AGA治療は早期開始が効果を高める鍵となるため、適切な治療開始のタイミングを逃してしまうことになります。また、まれなケースではありますが、薄毛の原因が甲状腺疾患や膠原病、あるいは栄養障害や薬剤の副作用など、他の病気である可能性も考えられます。これらの場合、原因となっている病気の治療や原因の除去が必要となります。自己判断で誤ったケアを続けていると、根本的な原因を見逃し、健康上のリスクにつながる可能性もあります。では、どうすれば正確な診断を受けられるのでしょうか。答えは、皮膚科医または薄毛治療を専門とする医師に相談することです。医師は、まず丁寧な問診で症状の経過や生活習慣、既往歴などを確認します。次に、視診や触診で脱毛のパターンや範囲、頭皮の状態を詳しく観察します。多くの場合、マイクロスコープを使って毛穴や毛髪の状態を拡大して観察し、AGA特有の軟毛化や、円形脱毛症で見られる特徴的な毛髪(切れ毛や萎縮毛など)がないかなどを確認します。これらの診察所見に基づいて、AGAなのか円形脱毛症なのか、あるいは他の脱毛症なのかを診断します。必要に応じて、血液検査などを行うこともあります。専門医による診断を受けることで、自分の薄毛の原因が明確になり、それに基づいた最も効果的な治療法や対処法を知ることができます。不安な日々を過ごすよりも、まずは勇気を出して専門医の診察を受けることが、解決への第一歩となるのです。