薄毛や抜け毛が気になり始めると、まず「育毛剤」の使用を考える方は多いのではないでしょうか。ドラッグストアやインターネット上には様々な種類の育毛剤が並んでおり、特に「女性用」と謳われた製品も数多く見られます。しかし、そもそも育毛剤とはどのようなもので、どのような効果が期待できるのでしょうか。まず、日本において「育毛剤」として販売されているものの多くは、「医薬部外品」に分類されます。これは、厚生労働省が許可した、育毛や脱毛予防に効果のある有効成分が一定濃度配合されている製品です。治療を目的とした「医薬品」とは異なり、主に「予防」や「現状維持」、「頭皮環境の改善」を目的としています。医薬部外品の育毛剤に期待される主な効果としては、まず「血行促進」が挙げられます。頭皮の血行が悪くなると毛根に栄養が届きにくくなるため、センブリエキスやビタミンE誘導体などの成分で血行を促し、毛母細胞の働きを活性化させます。次に、「頭皮環境の改善」です。グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分がフケやかゆみを抑えたり、保湿成分が頭皮の乾燥を防いだりすることで、髪が育ちやすい健やかな頭皮環境を整えます。また、女性の薄毛の原因の一つであるホルモンバランスの乱れに着目し、女性ホルモン様作用を持つとされる成分（大豆イソフラボンなど）を配合している製品もあります。では、「化粧品」に分類されるヘアトニックなどとはどう違うのでしょうか。化粧品は、主に頭皮の保湿や清浄を目的としており、「育毛」や「脱毛予防」といった効果を明確に謳うことはできません。効果を期待するのであれば、医薬部外品の育毛剤を選ぶのが一般的です。さらに、男性用育毛剤との違いも重要です。男性の薄毛（AGA）と女性の薄毛では原因やメカニズムが異なる場合が多いため、配合されている有効成分も異なります。また、女性の頭皮は男性に比べてデリケートな傾向があるため、女性用育毛剤はアルコール濃度を抑えたり、保湿成分を多く配合したりするなど、よりマイルドな使用感に作られていることが多いです。そのため、女性が育毛剤を選ぶ際は、必ず「女性用」と表示されているものを選ぶようにしましょう。