「自分は生まれつき髪が薄いのかもしれない」と感じている方はいらっしゃいますか。子供の頃から髪が細かったり、量が少なかったりして、周りの人と比べてコンプレックスを感じてきたという方もいるかもしれません。「生まれつき薄毛」という言葉は、医学的に明確に定義されたものではありませんが、多くの場合、ご本人が主観的に「髪の毛の密度が低い」「髪の毛一本一本が細い」と感じている状態を指していると考えられます。実際に、髪の毛の太さや密度（毛穴の数）、そして生えてくる髪の毛の性質（くせ毛か直毛かなど）は、遺伝的な要因によって個人差が大きい部分です。親から受け継いだ遺伝子によって、生まれ持った髪質や毛量は大きく左右されます。そのため、他の人と比べて髪が細かったり、全体的なボリュームが少なく見えたりすることは、病気ではなく、その人の個性である場合がほとんどです。特に、幼少期や思春期は、周りの目や比較によって、自分の髪質を過度に気にしてしまうこともあるでしょう。また、髪の色が薄い場合なども、地肌が透けて見えやすく、「薄毛」という印象を与えてしまうことがあります。ただし、ごく稀にですが、先天的な遺伝子異常などが原因で、生まれつき毛髪の形成に問題がある「先天性脱毛症」や「乏毛症」といった医学的な疾患が存在するケースもあります。これらの場合は、単に髪が細い・少ないというだけでなく、他の症状を伴うこともあります。もし、単なる髪質や毛量の問題ではなく、明らかに異常を感じる場合や、強い不安がある場合は、一度皮膚科などの専門医に相談してみることも大切です。しかし、多くの場合、「生まれつき薄毛」と感じる背景には、遺伝による髪質や毛量の個人差があるということを、まずは理解しておきましょう。