抜け毛は本数ではなく太さを見よう

2025年12月
  • 男性ホルモンの不思議AGA治療とヒゲ脱毛のメカニズム

    知識

    「ヒゲや体毛は濃いのに、なぜか頭の髪だけが薄くなっていく」。この現象に、多くの男性が一度は疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。この一見矛盾した悩みを解決するために、AGA治療とヒゲ脱毛の同時進行を検討する人が増えています。実はこの二つのアプローチは、諸悪の根源とも言える「男性ホルモン」に対して、全く異なる方法で働きかけることで成り立っています。そのメカニズムを理解すれば、なぜ同時進行が可能なのかが明確になります。 私たちの体内で分泌される男性ホルモンの一種、テストステロンは、体の部位によって異なる影響を及ぼします。ヒゲや胸毛といった体毛に対しては、毛を太くたくましく成長させる働きをします。これが、年齢とともにヒゲが濃くなる理由です。しかし、頭頂部や前頭部に存在する毛根では、このテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)へと変化します。このDHTこそが、髪の成長サイクルを乱し、毛を細く短くさせ、最終的には抜け落ちさせてしまうAGAの直接的な原因物質なのです。 AGA治療で用いられる内服薬、フィナステリドやデュタステリドは、このDHTの生成を「抑制」することに特化しています。5αリダクターゼの働きを阻害することで、テストステロンがDHTに変化するのを防ぎ、毛根への攻撃を止めるのです。これは、ホルモンの働きをコントロールする内側からのアプローチと言えます。 一方、ヒゲ脱毛はホルモンには一切干渉しません。医療レーザー脱毛は、毛の黒い色素(メラニン)に反応する特殊な光を照射し、その熱エネルギーで毛を生やす組織である毛母細胞や毛乳頭を「破壊」する、極めて物理的なアプローチです。一度破壊された組織からは、半永久的に毛が生えてこなくなります。こちらは、毛を生み出す工場そのものを取り除く、外側からのアプローチなのです。 このように、AGA治療は「ホルモンの働きを調整する」ものであり、ヒゲ脱毛は「毛を生やす組織を破壊する」ものです。両者は作用する仕組みが全く異なるため、互いに干渉することがなく、安全に同時進行させることが可能なのです。この体の不思議なメカニズムを理解した上で、それぞれの専門医に相談し、計画的に進めることが理想の自分への近道となるでしょう。