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クリーム、シャンプー?ケトコナゾールの剤形

ケトコナゾールという抗真菌薬は、感染した部位や症状の種類に応じて、様々な剤形(薬の形)で提供されています。それぞれの剤形には特徴があり、適した使い方があります。主な剤形とその用途について見ていきましょう。まず、最も一般的に使われるのが「外用薬(塗り薬)」です。これには「クリーム剤」と「ローション剤」があります。クリーム剤は、やや油分を含み、しっとりとした使用感が特徴です。皮膚への密着性が高く、乾燥した患部や、じゅくじゅくしていない水虫、皮膚カンジダ症、でんぷうなどに広く用いられます。一方、ローション剤は、水分ベースでさらっとした液体タイプです。べたつきが少なく、広範囲に塗り広げやすいのが特徴です。頭皮や毛の生えている部位、あるいは夏場などさっぱりとした使用感を好む場合に適しています。クリームと同様に、水虫や皮膚カンジダ症、でんぷう、そして頭皮の脂漏性皮膚炎などに用いられます。次に、特徴的な剤形として「シャンプー剤」があります。これは、主に頭皮の脂漏性皮膚炎によるフケやかゆみの治療・予防を目的として開発されたものです。有効成分であるケトコナゾールが、原因菌の一つであるマラセチア菌の増殖を抑えることで、症状の改善を目指します。通常のシャンプーと同じように髪と頭皮を洗いながら、薬効成分を頭皮に行き渡らせることができるのが利点です。使用頻度や使い方は製品によって異なるため、指示に従う必要があります。最後に、「内服薬(飲み薬)」です。錠剤の形で提供され、体の内部から作用することで、皮膚だけでなく、食道や肺などの内臓に起こる深在性真菌症の治療に用いられていました。しかし、ケトコナゾールの内服薬は、肝機能障害などの重篤な副作用のリスクが高いことや、他の薬剤との相互作用が多いことから、現在ではその使用は非常に限定的です。より安全性の高い他の抗真菌薬が登場したため、深在性真菌症の第一選択薬として使われることはほとんどなくなりました。特定の状況下で、医師がリスクとベネフィットを慎重に判断した上で処方されるケースにとどまります。このように、ケトコナゾールには複数の剤形があり、それぞれに適した使い方があります。どの剤形が自分の症状に合っているかは、医師の診断に基づいて判断されることが重要です。