フィナステリドを1年間服用した場合、具体的にどのような効果が期待できるのか、もう少し詳しく解説していきましょう。フィナステリドの主な役割は、AGA（男性型脱毛症）の進行を抑制すること、つまり「抜け毛を減らす」ことです。1年間の服用を通じて、この効果は多くの人で安定して現れることが期待されます。ヘアサイクルの乱れが改善され、成長期が本来の長さに近づくことで、髪が十分に成長する前に抜けてしまう現象が抑えられるのです。臨床試験のデータなどを見ても、1年間の服用で多くの被験者において抜け毛の減少や現状維持の効果が確認されています。次に期待されるのが、「髪質の改善」です。AGAが進行すると、髪の毛は細く、短く、色も薄くなる「軟毛化」という現象が起こります。フィナステリドによってDHTの影響が抑制されると、毛包が再び活性化し、軟毛が太く、長く、しっかりとした「硬毛」へと変化していく可能性があります。これにより、髪全体の密度が高まったように見えたり、ボリューム感が増したりといった効果が実感できることがあります。1年間の服用期間があれば、こうした髪質の変化を感じられる方も少なくありません。そして、「発毛効果」についても期待が持てます。フィナステリドは、直接的に発毛を促す薬ではありませんが、ヘアサイクルを正常化し、毛包の環境を整えることで、休止期に入っていた毛包が再び成長期へと移行し、新たな髪の毛が生えてくる（発毛）可能性があります。特に、まだ毛根が活動を停止していない状態であれば、産毛が生え、それが徐々に太い髪へと成長していくことが期待されます。ただし、発毛効果については個人差が大きく、すべての人に顕著な発毛が見られるわけではありません。特に、毛根が完全に委縮してしまっている場合には、発毛効果を得るのは難しいとされています。1年間の服用における効果をまとめると、「抜け毛の明確な減少」「髪のハリ・コシ・太さの改善」「一部の人における発毛（産毛の発生・成長）」が主なものとなります。重要なのは、フィナステリドは「現状維持」と「緩やかな改善」を目指す治療薬であるという点です。劇的に髪が増えるというよりは、薄毛の進行を食い止め、少しずつ状態を良くしていくイメージを持つことが大切です。