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先天性の病気?まれなケースを知る

多くの場合、「生まれつき薄毛」と感じるのは、遺伝的な髪質や毛量の個人差によるものですが、ごく稀に、先天的な病気が原因で毛髪の量が極端に少なかったり、生えてこなかったりするケースも存在します。これらの病気について知っておくことは、過度な不安を取り除いたり、本当に医療的な介入が必要な場合を見極めたりする上で役立ちます。「先天性脱毛症」や「乏毛症(ほうもうしょう)」と呼ばれるものが代表的です。これらは、遺伝子の異常などが原因で、生まれつき毛髪の形成や成長に問題がある状態を指します。毛髪が全く生えてこない、あるいは非常に細く短い毛しか生えず、すぐに抜け落ちてしまうといった症状が見られます。頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛など、全身の毛が薄い場合もあります。これらの疾患は非常にまれであり、多くの場合、出生時または乳幼児期から明らかな症状が見られます。また、単に毛髪の問題だけでなく、歯や爪、汗腺の異常など、他の先天的な異常を伴うこともあります(外胚葉異形成症など)。もし、幼少期から明らかに周りの子と比べて毛髪が異常に少ない、あるいは全く生えてこないといった状況であれば、小児科や皮膚科の専門医に相談し、正確な診断を受けることが重要です。診断がつけば、その疾患に対する情報提供や、対症療法(ウィッグの使用など)、遺伝カウンセリングなどが検討されます。ただし、注意したいのは、これらの先天的な疾患は、あくまで「非常にまれ」であるということです。「子供の頃から髪が細かった」「量が少ないと言われた」という程度であれば、ほとんどの場合は病気ではなく、前述したような遺伝的な体質(個性)の範囲内と考えられます。特に、成長期を経て成人し、他に健康上の問題がないのであれば、先天性の病気を過度に心配する必要はないでしょう。しかし、もしご自身の状態について強い不安がある場合や、他に気になる症状がある場合は、一度専門医に相談して、医学的な観点から評価してもらうことで、安心感を得られるかもしれません。