センター分けにしていると、分け目部分の地肌が目立ちやすいため、「はげるのではないか」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。では、センター分けという髪型自体が、AGA（男性型脱毛症）の発症や進行に直接関係するのでしょうか。結論から言うと、センター分けというヘアスタイルが、AGAの直接的な原因になるという医学的根拠はありません。AGAの主な原因は、遺伝的な要因と男性ホルモン（DHT）の影響によるものです。特定の髪型がホルモンバランスを変えたり、遺伝子に影響を与えたりすることはありません。したがって、「センター分けにしたからはげる」ということは基本的には考えられません。しかし、注意すべき点が二つあります。一つは、センター分けにすることで、もともと進行し始めていたAGAによる薄毛が「目立ちやすくなる」可能性があるということです。AGAは、生え際（M字部分）や頭頂部から薄毛が進行するのが特徴ですが、頭頂部の薄毛が始まっている場合、センター分けにするとその部分の地肌がより露わになり、薄毛が進行しているように見えやすくなることがあります。つまり、センター分けが原因ではげるのではなく、AGAによる薄毛がセンター分けによって顕在化する、というケースです。もう一つは、前述した「牽引性脱毛症」との関連です。もし、AGAを発症しやすい遺伝的素因を持っている方が、長期間センター分けを続け、牽引性脱毛症によって分け目部分の毛根に負担がかかっている場合、AGAの進行を助長してしまう可能性はゼロとは言い切れません。頭皮環境の悪化や血行不良は、AGAにとってもマイナス要因となり得るからです。いずれにしても、センター分け自体がAGAを引き起こすわけではありません。しかし、もしセンター分けにしていて分け目の薄さが気になる場合、それが単に目立ちやすいだけなのか、牽引性脱毛症の兆候なのか、あるいはAGAが進行し始めているサインなのかを、自己判断せずに見極めることが重要です。不安な場合は、専門医に相談し、頭皮の状態を診てもらうことをお勧めします。