発毛効果が期待できるミノキシジルですが、医薬品である以上、副作用のリスクも存在します。使用を開始する前には、どのような副作用が起こる可能性があるのか、そしてどのような点に注意すべきかを理解しておくことが重要です。まず、「外用薬（塗り薬）」の場合、最も一般的に見られる副作用は、塗布した部位の「皮膚症状」です。具体的には、かゆみ、赤み、発疹、フケ、かぶれ、乾燥、ヒリヒリ感などが報告されています。これらは、ミノキシジル成分自体への反応や、基剤として含まれるアルコールなどへの刺激が原因となることがあります。症状が軽い場合は様子を見ることもありますが、我慢できないほどのかゆみや、症状が悪化する場合は、使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。次に、「初期脱毛」です。使用開始後、一時的に抜け毛が増える現象で、多くの場合、数週間から1ヶ月程度で治まります。これはヘアサイクルが正常化する過程で起こるもので、薬が効いているサインとも考えられますが、不安な場合は専門家に相談しましょう。まれに、外用薬であっても「全身性の副作用」が現れる可能性も指摘されています。例えば、頭痛、めまい、動悸、胸の痛み、手足や顔のむくみ、急激な体重増加などです。これらは、ミノキシジルの血管拡張作用などが影響していると考えられます。特に、心臓や腎臓に持病がある方、血圧に問題がある方は、使用前に必ず医師に相談が必要です。万が一、これらの全身症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師の診察を受けてください。一方、「内服薬（飲み薬、タブレット）」の場合は、外用薬に比べて全身性の副作用のリスクが高くなります。上記の全身症状（動悸、むくみ、めまい、低血圧など）に加えて、肝機能障害や、多毛（腕や脚、顔など、頭部以外の体毛が濃くなる）といった副作用が報告されています。前述の通り、ミノキシジル内服薬は国内ではAGA治療薬として未承認であり、その使用にはより慎重な判断が必要です。いずれのタイプのミノキシジルを使用する場合も、定められた用法・用量を守ることが副作用のリスクを低減するために重要です。また、妊娠中・授乳中の女性は使用できません。他の薬剤を使用している場合や、持病がある場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。