AGA（男性型脱毛症）治療は効果が期待できる反面、副作用のリスクも伴います。しかし、いくつかの点に注意することで、そのリスクを可能な限り低減させ、より安全に治療を受けることができます。まず最も重要なのは、「必ず医師の診察・処方のもとで治療を開始・継続すること」です。AGA治療薬は医薬品であり、個々の健康状態や体質に合わせて適切に使用する必要があります。医師は、問診や診察、必要に応じた検査を通じて、患者さんにとってその薬剤が適しているか、副作用のリスクはどの程度かなどを判断します。治療開始後も、定期的な診察を受けることで、効果の確認だけでなく、副作用の早期発見や早期対応が可能になります。絶対に避けるべきなのが、「個人輸入による薬剤の入手」です。インターネットなどを通じて、海外から安価なAGA治療薬を個人輸入することが可能ですが、これには非常に大きなリスクが伴います。まず、入手した薬剤が本物である保証はなく、偽造薬や粗悪品である可能性があります。有効成分が含まれていなかったり、異なる成分や不純物が混入していたりするケースも報告されており、効果がないばかりか、予期せぬ健康被害を引き起こす恐れがあります。また、医師の診察を受けずに自己判断で使用するため、副作用が出た場合の対処が遅れたり、持病との相互作用に気づかなかったりする危険性も高まります。国内で正規に処方された薬剤であれば、万が一重篤な副作用が発生した場合に「医薬品副作用被害救済制度」の対象となる可能性がありますが、個人輸入の薬剤ではこの制度は適用されません。治療を受ける際には、医師から指示された用法・用量を必ず守ることも大切です。効果を高めようとして自己判断で量を増やしたり、飲み忘れた分をまとめて服用したりすることは、副作用のリスクを高める原因となります。また、治療開始前や治療中に、自身の健康状態の変化や、他に服用している薬剤（市販薬やサプリメントを含む）があれば、必ず医師に伝えるようにしましょう。持病がある方（特に肝臓や心臓の病気）や、アレルギー体質の方は、特に注意が必要です。安全なAGA治療のためには、信頼できる医療機関で、医師の管理のもと、ルールを守って治療を進めることが不可欠です。