抜け毛は本数ではなく太さを見よう

湯シャンという旅を始め、そして長く続けていくために最も大切な心構えは、おそらく「完璧を目指さないこと」でしょう。インターネットや書籍で紹介されている理想的な湯シャンの効果に期待し、「今日から完全にシャンプーを断つ」「絶対にベタつかせない」と意気込んでしまうと、多くの場合は早々に挫折してしまいます。なぜなら、私たちの頭皮環境は、長年のシャンプー習慣やその日の体調、食べたもの、気候など、様々な要因で日々変化するからです。昨日まで調子が良かったのに、今日はなんだかベタつく。そんな日は必ず訪れます。そんな時、「自分には湯シャンは合わないんだ」と結論づけてしまうのは非常にもったいないことです。大切なのは、日々の自分の頭皮の状態を丁寧に観察し、その声に耳を傾けること。そして、その日の状態に合わせてケアを柔軟に変えてあげることです。今日は少し汗をかいたから、いつもより念入りにすすごう。なんだかスッキリしないから、今日は無理せずシャンプーを使おう。スタイリング剤をたくさん使ったから、明日は頭皮を休ませるために湯シャンにしよう。このように、湯シャンを「ゼロか百か」のルールで縛るのではなく、自分のヘアケアの選択肢の一つとして、自由に、そして柔軟に取り入れるのです。完璧な湯シャンライフなど存在しません。あるのは、今日の自分にとって心地よいケアだけです。その日のベストを尽くせば、それで十分。そのくらいのしなやかな気持ちで向き合うことが、結果的に湯シャンと長く、そして心地よく付き合っていくための最大の秘訣なのです。