くせ毛の悩みを解消し、憧れのストレートヘアを手に入れることができる縮毛矯正。しかし、その一方で「縮毛矯正を続けるとはげる」「髪が抜ける原因になる」といった噂を耳にして、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、縮毛矯正の施術自体が、直接的に毛根に作用して髪の毛を生えなくさせ、いわゆる「はげる」（AGAのような状態）を引き起こすという医学的根拠は、現在のところ明確には示されていません。AGA（男性型脱毛症）やFAGA（女性男性型脱毛症）といった薄毛の主な原因は、遺伝やホルモンバランス、加齢などであり、縮毛矯正の薬剤や熱が毛根の細胞を破壊し、永久に髪が生えてこなくさせる、ということは通常考えられません。では、なぜ「縮毛矯正ではげる」という噂が広まるのでしょうか。それにはいくつかの理由が考えられます。一つは、縮毛矯正による「髪のダメージ」です。縮毛矯正は、薬剤を使って髪の内部の結合を切断し、熱（アイロン）でまっすぐに整えた後、別の薬剤で再結合させるという、髪にとっては非常に負担の大きい施術です。この過程で、髪の主成分であるタンパク質が変性したり、髪の表面を保護しているキューティクルが剥がれたりすることがあります。ダメージが蓄積すると、髪はもろくなり、切れ毛や枝毛が増加します。特に根元近くで髪が切れてしまうと、それが「抜け毛」のように見え、「髪が薄くなった」と感じる原因になる可能性があります。もう一つは、「頭皮への影響」です。施術中に薬剤が頭皮に付着したり、薬剤を洗い流す際のすすぎが不十分だったりすると、頭皮に刺激を与え、炎症やかぶれ、かゆみ、乾燥などを引き起こすことがあります。頭皮環境が悪化すると、健康な髪が育ちにくくなり、間接的に抜け毛が増える可能性は否定できません。つまり、縮毛矯正が直接「はげる」原因になるわけではないものの、施術による髪のダメージ（切れ毛）や、頭皮環境の悪化が、「薄くなった」「抜け毛が増えた」と感じさせる要因になり得る、ということです。この点を正しく理解しておくことが、不安を解消し、適切な対策を考えるための第一歩となります。