デュタステリドは、フィナステリドと同様にAGA（男性型脱毛症）の治療に用いられる内服薬です。商品名「ザガーロ」として知られています。デュタステリドもフィナステリドと同じく、AGAの原因物質DHT（ジヒドロテストステロン）の生成を抑制することで効果を発揮します。ただし、フィナステリドが主に5αリダクターゼのⅡ型を阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害するという特徴があります。そのため、DHTをより強力に抑制する効果が期待される一方で、副作用に関しても注意が必要です。デュタステリドで報告されている副作用は、フィナステリドと類似したものが多いです。最も注意すべきは、やはり性機能に関する副作用です。性欲減退、勃起機能不全（ED）、射精障害などが報告されており、その発現頻度はフィナステリドと比較してやや高い傾向にあるというデータもあります。これは、デュタステリドがより広範にDHTの生成を抑制することに関連していると考えられます。これらの症状が出た場合も、多くは服用中止により改善しますが、フィナステリド同様、稀に症状が持続する可能性も考慮に入れる必要があります。肝機能障害のリスクについても、フィナステリドと同様に注意が必要です。デュタステリドも肝臓で代謝されるため、定期的な肝機能検査が推奨されます。特に、他の薬剤を服用している場合や、元々肝臓に疾患がある場合は、必ず医師に相談してください。その他の副作用としては、乳房の障害（女性化乳房、乳房の圧痛など）、抑うつ気分、めまい、頭痛、腹部不快感などが報告されています。発生頻度は低いとされていますが、体調に変化を感じた場合は放置せず、医師に伝えることが重要です。デュタステリドはフィナステリドよりも効果が高いとされる一方で、副作用の発現頻度がやや高い可能性も指摘されています。そのため、治療法の選択にあたっては、医師と十分に相談し、期待される効果と副作用のリスクを天秤にかけ、個々の状況に合った薬剤を選択することが大切です。安易に効果の高さだけで選ぶのではなく、安全性も考慮した上で、納得のいく治療を進めるようにしましょう。