現代社会はストレス社会とも言われ、仕事や人間関係、家庭環境など、様々な要因から私たちは日々ストレスにさらされています。この「ストレス」が、実は薄毛や抜け毛の大きな原因の一つとなり得ることをご存知でしょうか。精神的なストレスが、私たちの体に様々な影響を及ぼし、それが髪の健康にも悪影響を与えてしまうのです。ストレスを感じると、私たちの体は緊張状態になり、「交感神経」が優位に働きます。交感神経には血管を収縮させる作用があるため、頭皮の毛細血管も収縮しやすくなります。この状態が慢性的に続くと、頭皮の血行が悪化し、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素が毛根に十分に届かなくなってしまいます。毛根の働きが低下すれば、髪は細く弱々しくなり、成長期が短縮されて抜け毛が増える原因となります。また、ストレスは「ホルモンバランス」にも影響を与えます。ストレスを感じると、副腎皮質からコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。これらのホルモンが過剰になると、男性ホルモンの働きが相対的に強まったり、女性ホルモンのバランスが崩れたりして、AGA（男性型脱毛症）やFAGA（女性男性型脱毛症）の進行を助長したり、びまん性脱毛を引き起こしたりする可能性があります。さらに、強いストレスは「免疫機能」にも影響を及ぼすことが知られています。免疫システムに異常が生じ、自分自身の毛根を攻撃してしまう「円形脱毛症」の発症の引き金となることもあります。円形脱毛症は、ストレスだけが原因ではありませんが、ストレスが発症や悪化に関与しているケースは少なくありません。加えて、ストレスは「睡眠の質の低下」や「食生活の乱れ」を引き起こしやすいという側面もあります。ストレスで寝付けなくなったり、やけ食いをしてしまったりといった経験がある方もいるでしょう。これらの生活習慣の乱れも、間接的に髪の健康を損なう要因となります。このように、ストレスは様々な経路を通じて、髪の成長を妨げ、薄毛や抜け毛を引き起こす可能性があるのです。ストレスを完全になくすことは難しいかもしれませんが、自分なりのストレス解消法を見つけ、上手にコントロールしていくことが、髪の健康を守るためにも非常に重要になります。