縮毛矯正が「はげる」直接の原因ではないとしても、髪に大きなダメージを与える可能性があることは事実です。なぜ縮毛矯正は髪を傷めてしまうのか、そのメカニズムを理解しておきましょう。縮毛矯正は、大きく分けて二つの工程で髪の形状を変化させます。第一段階では、「1剤」と呼ばれるアルカリ性の薬剤(還元剤)を使用します。この薬剤は、髪の内部にあるタンパク質の結合(シスチン結合)を切断する働きがあります。くせ毛の原因となっている髪内部の歪んだ結合を一旦リセットするイメージです。この1剤は、髪のキューティクルを開かせ、内部に浸透する必要があるため、髪にとっては負担となります。キューティクルが開いた状態は、髪内部の水分や栄養分が流出しやすく、ダメージを受けやすい無防備な状態と言えます。第二段階では、ストレートアイロンなどを使って熱を加えながら髪をまっすぐに伸ばします。高温の熱を加えることで、髪内部のタンパク質が熱変性を起こし、まっすぐな形状が記憶されやすくなります。しかし、過度な熱は髪の水分を奪い、タンパク質を硬化させ、髪を乾燥させてもろくする原因となります。特に、濡れた髪に高温のアイロンを当てると、水蒸気爆発と呼ばれる現象が起こり、髪内部に空洞ができ、深刻なダメージにつながることもあります。最後に、「2剤」と呼ばれる酸化剤を使用します。これは、1剤で切断したシスチン結合を、まっすぐな状態で再結合させ、ストレートな形状を固定する役割を果たします。この2剤の反応が不十分だと、ストレートの持ちが悪くなったり、ダメージが進行しやすくなったりします。このように、縮毛矯正は薬剤による化学反応と、高温の熱処理という、髪にとっては過酷なプロセスを経ています。施術の過程で、髪の内部構造が変化し、表面のキューティクルもダメージを受けやすいため、結果として髪の体力は低下します。ダメージが蓄積すると、髪は弾力を失い、パサつき、ツヤがなくなり、切れ毛や枝毛が発生しやすくなります。これが、「縮毛矯正をしたら髪が細くなった」「量が減ったように見える」と感じる一因となるのです。ダメージを完全に避けることは難しいですが、施術方法や薬剤の選択、そして後述するアフターケアによって、その度合いを軽減することは可能です。
— AGA —
薬剤と熱、縮毛矯正の髪ダメージ
2019年11月13日