ミノキシジルという成分名を、薄毛や抜け毛に悩む方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。これは、AGA(男性型脱毛症)や女性のびまん性脱毛症などに対して、発毛効果が医学的に認められている数少ない有効成分の一つです。もともとミノキシジルは、高血圧治療のための血管拡張薬(飲み薬)として開発されました。しかし、その臨床試験の過程で、副作用として「多毛」の症状が見られることが発見されたのです。この偶然の発見がきっかけとなり、薄毛治療薬としての研究開発が進められ、頭皮に直接塗布する外用薬(塗り薬)として広く使われるようになりました。ミノキシジルの主な発毛メカニズムは、まだ完全には解明されていない部分もありますが、主に二つの作用が考えられています。一つは「血管拡張作用」です。ミノキシジルを頭皮に塗布することで、毛細血管が拡張し、頭皮の血行が促進されます。血流が改善されると、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛根(毛母細胞や毛乳頭細胞)へより多く、スムーズに供給されるようになります。これにより、毛根の働きが活性化されると考えられています。もう一つの重要な作用は、「毛母細胞への直接的な働きかけ」です。ミノキシジルは、毛母細胞のアデノシン三リン酸(ATP)感受性カリウムチャネルを開き、細胞の増殖を促進したり、アポトーシス(細胞死)を抑制したりする作用があることが示唆されています。また、髪の成長期を延長させ、休止期から成長期への移行を促す働きもあるとされています。これらの作用により、細く弱々しくなった髪の毛(軟毛)を太く健康な髪(硬毛)へと成長させたり、新たに髪の毛が生えてくるのを助けたりする効果が期待できるのです。日本では、ミノキシジルを配合した発毛剤が、薬局やドラッグストアで購入できる第一類医薬品として販売されています。
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ミノキシジルって何?基本の効果解説
2020年3月24日